コロナ・ショックでベアマーケット入り:今こそ老後2000万円チャレンジ

12年ぶりに米国市場はベアマーケット入り

2020年3月11日、ニューヨークダウ平均は1464ドルの値下げとなりました。
この結果、終値は直近の最高値から20%以上の下落が確定、ベアマーケット入りとなりました。

ダウ平均は30名柄ですが、全米500名柄の代表指数であるS&P500も直近の最高値から19%超の下落ですので、客観的にみてベアマーケット入りは確実です。
以下にS&P500が暴落している様子を示します:

ベアマーケットとは弱気相場のことで、簡単にいえば株のバーゲンセールが始まったということです。
ベアマーケットは2008年9月のリーマン・ショック以来のことで、いよいよリセッションが現実のものになりつつあります。

米国のベアマーケット入りはもちろん全世界に影響するでしょう。
すなわち、世界各国もベアマーケット入り→リセッションへの道を歩み始めたということです。

リセッションとは不景気のことですので、世間一般的には嬉しくないでしょうが、投資家的には一大チャンス。
株のバーゲンセールはもちろん、多くの金融商品の値動きが不安定に/大きくなり、資産を増やす絶好のチャンスになるのです。

大暴落は10年サイクルでやってくるといわれているのですが、今回もその定石に違わず到来しました。
長年投資を続けてきた人にとっては資産が目減りして痛手です。
しかし、投資を始めたばかり/これから投資を始める人にとっては、失うものは少ない/まったくないので、絶好の参入チャンスでしょう。

なぜ投資を始めるチャンスなのか?

世界中が不安に怯えている状況で「投資だ!投資だ!」というのは、(投資経験のない人の)普通の感覚では狂っているとしかいえません。
「まず目先の生活や仕事が第一でしょう?」というのも一理あります。

でも、それはそれとして、ベアマーケット中は安く金融商品を購入できるのです。
20年30年先を見据えて、ここで安値買いしておくことは長い目で見て理にかなった行為。
逆に「今」だけ考えて行動した結果は、「あの時こうしていれば…」と後悔することになりがちです。

もちろん、今このタイミングで有り金全部突っ込むのは悪手です。
ベストな買い時なんて一般投資家には予想できるわけないんですから。
とはいえ、後で述べますが、自分のできる範囲で慎重に行動すれば、少なくとも大怪我はしなくて済むでしょう。

具体的にどのような投資先があるのか?

日本はあらゆる投資商品にアクセス可能なので本当に選び放題です。
株価は下落し、(一般的に)円高は進む。
株でも外貨でもなんでも安く購入可能です。

とはいえ、なかには仕組みが複雑過ぎて意味不明な投資もあるので、手軽に始められる投資先をいくつか挙げてみます。
実際にこのブログの作成者である△も実施している投資なので、特色や注意点を理解しているつもりです。

積み立て投資(投資信託や海外ETFなど)

おそらく王道ともいえる投資でしょう。
毎月一定額をコツコツ投資していくスタイルです。
そして20~30年後に十分値上がりしたところで回収します。

代表的なのは:

国が推奨するつみたてNISA
SBI証券[旧イー・トレード証券]

そして、節税面でも優れたiDeCo
【確定拠出年金(iDeCo)専用】SBI証券

日本におけるロボアドバイザー投資の草分けであるWealthNavi
WealthNavi

の3つがありますが、節税面で優れているつみたてNISAiDeCoを優先し、それで余裕があるならWealthNaviに投資するというのが基本戦略になるでしょう。
ただ、面倒なのが嫌だという人はWealthNaviに全部任せるのが簡単です。

ちなみに一般的な会社員の年間投資限度額は、つみたてNISAは40万円、iDeCoは27.6万円。
毎月の積み立て額に換算すると、それぞれ33333円、23000円になります。
ひと月に56333円でもまだ余裕あるよという方はWealthNaviも投資先に加えればいいでしょう。

△は投資金額的にWealthNaviメインで行っています。
というのも、WealthNaviは米国で上場しているETFを投資対象としており、円安になれば資産がその分増えるからです。
(個人的に長期的に円安が進むと予想しています)

これら3つの投資先は三者三様ですが、投資信託/ETFも個別株に集中投資しない点が共通しています。
つまりリスクが分散されているので、相場下落時の資産の目減りの若干マイルドになります。
たとえば3/13現在の△のWealthNaviの残高は投資額から–11%です:

現在株価は大きく下落してますので、安く買い入れるチャンス。
資産が増えるにはなかなか時間のかかる投資法ですが、リスクの低さやお手軽さを考えれば第一の選択肢に挙がる投資先といえるでしょう。

FXの自動売買(トラリピ)

安く買ったはいいけど、増えるまで何十年も待ってられない!という人もいるでしょう。
そういう人にとって、差金決済(CFD)は魅力的な選択肢となりえます。

CFDとは安く買って高く売るあるいは高く買って安く売るという投資で、みんながよく有り金を溶かすことで有名なFXもCFDの仲間です。
売買を繰り返してコツコツ利益を積み上げる。これがCFDの魅力の一つです。

CFDの利点は2つあり、ひとつ目は空売りができること。
つまり高く買って安く売ることができるのです。

たとえばある金融商品を1万円で買って2万円で売却(利益1万円)、その後2万円で空売りして1万円で買い戻す(利益1万円)、なんてことも可能です。
この例だと往復2万円の利益になりますね。

ふたつ目はレバレッジをかけた証拠金取引ができること。
株式だと、10万円払えば10万円分の株式しか購入できませんが、証拠金取引ではレバレッジ2倍なら20万円分、5倍なら50万円分の取引が資金10万円で可能です。

FXの自動売買もこの二つの特徴をフルに活かした取引で、為替レートの値動きを利用して利益をコツコツ重ねます。
ただし、リスクを控えめにして、小さな利益を数多く積み重ねる投資になります。
(いわゆる溶かすFXとは異なる方式です)

FXの自動売買のパイオニアがマネースクエア社のトラリピです:
マネースクエア

トラリピは裁量取引のFXと異なり、初期設定をすればあとは自動で売買をリピートしてくれます。
というわけで基本的にすることは少ないです。

ただし証拠金取引なので資金管理が重要になります。
トラリピでの資金管理にはシミュレーション機能が役立ちますが、数ある項目の中で「ロスカットレート」の設定は極めて重要です。

ロスカットレートとは、証拠金が不足して強制損切りになるラインで、たとえば「1ドル=80円」で損切りになる場合、80円がロスカットレートになります。

ロスカットレートは慎重になればなるほどリスクは低くなるものの、証拠金が多く必要になったり、見込み利益が少なくなります。
逆に強気でいけばリスクは高くなるものの、より少ない資金で多くの利益が見込めます。

トラリピは自動売買とはいえ、この設定だけが投資家自身の判断となるので、最初のうちは比較的余裕のある設定が良いと思います。
ちなみに△はリーマン・ショック時の円高レベルに耐えうる設定にしており、低リスク優先です。

そんな低リスク設定でも、トラリピは平時で年利5~8%程度のリターン、現在のコロナ・ショックのような異常時だと12~30%程度のリターンになっています。

以下はベアマーケット入りした週の初日3/9の決済(利益確定)のスクショですが、このような怒涛の決済(利益確定)が1週間続きました:

ベアマーケット時には株式だけでなく、為替も大きく変動するため、その変動幅を狙ったトラリピも投資としては良い選択肢になると思います。

ETFの自動売買(トライオートETF)

トライオートETFはCFD自動売買の一種なのですが、FXと異なりETFの自動売買です。
インヴァスト証券「トライオートETF」

WealthNaviでも触れたETFですが、WealthNaviでは安く買って積み立てて、20~30年後に回収する戦略でした。

トライオートETFでは安く買うところまでは一緒なのですが、一定額値上がりしたら即座に売却します。
また、逆に値下がりした場合も空売りで利益を得ます。
このような売買を繰り返してコツコツ利益を積み上げるので、FX自動売買のETF版といえるでしょう。

特徴は:

  • 爆発的な利益発生
  • 少ない資金で投資可能

の2点にあります。

当然その分リスクも高いので、資金に余裕がある人ならばチャレンジする価値はあります。
とくに現在のような値動きが激しい時期はこのような商品の特性を活かせますので。

ちなみに△はナスダック指数を参照したナスダック100トリプル ヘッジャーというETFで取引しています。

ナスダック100トリプル ヘッジャーは底値で開始して、基本的に値上がりに連動して利益を確定する投資なので、暴落後の底値で開始するのが基本戦略になります。

△はベアマーケット入りした3/11に、直近の高値の45%マイナスになった時点で開始しました:

そしてわずか4日間で投入額の9%の利益を上げています:

ここまで結果が出るならまとまった資金を投入したくなりますが、ベアマーケット時はボラティリティが大きくなることもあるので、分散して投資することが重要です。

個人的には価格が下がるたびに追加のポジションを持つことがリスク回避に有効だと考えます。

FXに比べるとまだ馴染みがないかもしれませんが、ETF自動売買も面白い投資です。
なにしろ少なめの予算で始められるので選択の一つに入れても良いと思います。

米国VIの空売り

こちらはややマニアックですが、比較的少ない資金で投資できる米国VIの空売り(ショート)です:

米国VIショートもCFD取引の一種ですが、トラリピやトライオートETF とは異なり、自動売買ではありません。

米国VIはVIX指数(恐怖指数)に連動した商品で、VIXが上がれば米国VIも値上がりし、下がれば値下がりします。
値上がりした米国VIを空売りし、あとは下がるのを待ち続けるだけという投資です。

その特徴として、現在のような相場混乱時には米国VIは値上がりします。
そして、その後は基本的に右肩下がりで、上へ下へのジェットコースター的な値動きをすることは少ないです。

ということで高値で空売りしてあとは下がるのを待つだけというズボラな投資が成り立つのです。

さらに、先物という特性上毎月価格調整額が発生し、値下がり傾向の場合、概ねプラスの金額が毎月発生します。
これも米国VIショートの魅力でもあります。

詳しい取引方法は過去記事にあるので、以下を参照してみてください:

ちなみに、こちらも比較的少ない資金で投資可能です。
ロスカットレートをリーマン・ショック時並みの80(3/13現在45)とした場合、購入時のレートにもよりますが8万円程度あれば十分でしょう。

仮想通貨

半分冗談ですが、△もアルトコインは保有しているので一応ご紹介しておきます。
コインチェック

なんだかんだでCoincheckはUIが秀逸で使いやすいです。
運よくプラスで痛い目は見ていませんが、本当に運とタイミングがほとんどを占める投資だとしみじみ感じています。

今回のコロナ・ショックでビットコインはじめ軒並み暴落してますが、仮想通貨のリスクって平常時でもコロナ・ショックより高いだろうに、なんであんたたちまで一緒に暴落してるのさ?と突っ込まざるを得ないです。

仮想通貨は他の投資で利益を得られたら、その一部を投入するぐらいでいいのかなと思います。

それぞれの特徴を活かして投資先の選定を

以上投資先の例として、△が実際に投資しているいくつかを挙げましたが、他にも様々気にある投資先はあります。

長期的な資産形成を目指すのか、あるいは日々の利益の積み重ねを目指すのか、目的によって投資先は異なるので、公式サイトなどでよく確認することをお勧めします。

△の場合、基本的に日々の利益の積み重ね(不労所得)を重視しているので、トラリピやトライオートETFに重点を置いていますが、同時にリスクヘッジも考えて積立型の投資も併用しています。
バランスが大事、という考え方です。

もちろん、バランスをとると利益は若干減りますが、投資は長期に渡って生き残ることが最重要ですので、リスク管理を利益より重視しています。

リスク管理について

ベアマーケット開始直後は相場は不安定で乱高下することも多々あります。
実際に3/11の週はダウ平均が2000円近くの幅で乱高下して、素人がとても手出しできる相場には見えませんでした。

ということで、リスク管理に気を遣わなくてはなりません。
おもに注意したい点は3つあります。

リスク管理1:感情に流されず合理的に判断

相場が暴落している際は「今が底値だ」と思いがち。
でもそれは何の根拠もない思い込みに過ぎません。

投資対象の特徴を見極め、自身の資金力や方針と相談しながら、自分で投資計画を作成してそれに従うことが重要です。
平時でも異常時でも、感情に流された決断は後悔をひどい結果をもたらします。

△の場合、信頼できるヘッジファンドの中の人やストラテジストを少人数フォローして、彼ら/彼女らから学び自分なりの判断を下しています。

リスク管理2:分散投資すること

いくら過去より安くなったとはいえ、一気に投資してはいけません。
今後値上がりすれば問題ありませんが、値下がりすることも十分考えられます。

むしろ値下がりすれば、より安く購入できるわけですので、慌てて資金をまとめて投資する必要はありません。

また同じ投資先への投資時期を分散することはもちろん、資金に余裕があれば投資先そのものを分散することも重要です。

リスク管理3:資金に余裕を持たせること(現金も残しておく)

全財産を投資に突っ込むことは避けましょう。
分散投資と関連しますが、資産を投資とキャッシュに分散することもリスク管理の一つです。

人それぞれ考え方があると思いますが、個人的には3年生活できる現金は残したいと思います。
手持ち現金に関する簡単な記事も書いていますので、よろしければ参考にしてください:

初心者が守るべき格言

最後に△の座右の銘である、ジョージ・ソロスの名言を紹介します:

まず生き残れ。儲けるのはそれからだ。

リスク管理の基本はこれに尽きます。
この格言をベースにして自分だけの投資戦略を練るのです。

ベアマーケットの期間は意外と短い

という感じでベアマーケットは投資の一大チャンスだ!と述べてきました。

さて、止まない雨はないの言葉通り、ベアマーケット(あるいはリセッション)はいつか回復します。
とはいえコロナ・ショックによるベアマーケットがどの程度続くのか?それは予想できません。

しかし過去のリセッションを参考にはできます。
米国を例に挙げると、1945年以降のリセッションは平均11ヶ月です。

参照元の全米経済研究所(NBDR)のデータを以下に示します:

Source: https://www.nber.org/cycles.html

赤い枠のところが1945年以降の、リセッション/景気拡大の平均期間で、それぞれ11.1/58.4ヶ月です。

これを見る限り、リセッションよりも景気拡大期の方がはるかに長く、リセッション(つまり株のバーゲンセール期間)は意外と短いようです。

実際にリーマン・ショック以降における、S&P500とUSD/JPYレートの回復を見てみましょう。

S&P500

USD/JPYレート

黄色のオーバーレイは下落〜回復の期間を示していて、リーマン・ショック時のレベルに戻るまでS&P500は2年半、USD/JPYレートは6年かかっています。
いずれにせよ落ちたものは元に戻り、そしてさらに上へと向かうのです(とくに株式)。

S&P500は半年だけ下落して、その後はひたすら復活の過程にあったようです。
やはり米国株は強いです。

ここで言いたいことは、株のバーゲンセールの恩恵を受けられる期間は意外と短いということです。
とくに米国は何度も危機を経験しているものの回復は早く、投資するならば迷っている暇はありません。

また、為替は時間はかかったものの、結局元のレートに戻ることが示されています。
(株式と異なり、右肩上がりではなく一定範囲内での値動きになる)

リーマン・ショックは金融システムの崩壊で、コロナ・ショックは疫病によるサプライチェーンの崩壊であり、問題点は異なります。株価下落のスピードもこれまでに未経験のペースです。
また、今回は円高が今のところ進んでおらずむしろ円安になっています。
ですので、今後の相場がリーマン・ショック時と同じ道を辿るとは限りません。

しかし、問題が解消されればブルマーケット(上昇相場)に転換することは予想できますので、ベアマーケット時にしかできないことは悔いの残らないようにやっておきたいですね。

また、現在世界各国が大規模な金融緩和を実施していることも重要です。
つまり市場にじゃぶじゃぶお金が注ぎ込まれているのです。

これは将来カネ余り現象が起こって、バブルが起こることが予想されます。
そのバブルがいつ来るかは分かりませんが、今のうちに色々とお安く買っておきたいですね。

今こそ老後2000万円を作りはじめよう

今の日本はコロナ一色でマスクやトイレットペーパー、さらには米まで買い漁る人で溢れる始末。
生活がかかっているからしょうがないけれど、せっかくの投資チャンスを逃しているんじゃないかと勝手に心配しています。

今こそ政府は「老後のために投資を始めよう!いろいろお安くなってませ!」と国民を鼓舞すべきなのですが、絶対「不謹慎だ」と言われそう。
これが投資教育を怠ってきたツケで、多くの日本人がいつまでたっても貧乏な理由です。

昨年あれだけ大騒ぎした「老後2000万円問題」。
みんな忘れちゃったのかな?

個人的には2000万円も必要か?と思いますが、資産を増やす大切さは変わりません。

ベアマーケットの今こそちょっとずつでも始めてみてはどうでしょう?
やってみれば投資も結構楽しいって思えるかもしれませんよ。