トルコがリセッション入り
2019年3月11日、トルコ統計局(TUIK)2018年4QのGDPが前期比(季節調整済み)2.4%減少したと発表。3Qの1.6%減から2四半期連続のマイナス成長となりました。
これをもってトルコのリセッション*入りが確定しました。
*欧米では「2四半期連続のマイナス成長=リセッション(景気後退)」という定義。
ちなみに日本にはリセッションの定義はない。
リセッションというと、普通の人は「なにそれ?」という反応ですね。
少し経済に詳しい人なら「どうしよう。。先行き不安だなあ」という反応。
投資家は「(下落した株とかの)バーゲンセールの始まりやぁ!」という変態的な反応をします。
まあともあれ、トルコは今後景気の悪い状態が続いていろいろ大変ということです。
もちろん通貨リラにも影響が出るかもしれません。
リラはどう反応した?
ただ、そのリセッション発表直後、リラは対USD、JPYともに小幅な値下がりにとどまっています。
この発表は織り込み済みだったということもあるんでしょうね。
トルコが多くの問題を抱えていることは以前から明らかで、今さらリセッション入りのニュースは新鮮ではないということです。
むしろ、3月20日にFOMCが利上げ凍結と景気減速を明言した時の方が、リラはしっかり暴落しましたね。
為替変動が米国発なのは、トルコだけじゃなく世界中ですが。
現在のトルコが抱える問題
ざっと挙げてもこれだけあります:
→経常赤字を多く残しています。
高いインフレ率
→通貨そのものの価値が低くなります。今より下落する可能性もあります。
地政学的リスク
→米露の介入もあり、中東は常に問題を抱えていますしね
莫大な対外債務
→返済のために(リラを売って)外貨を獲得しなければならない
不安定な内政
→エルドアン大統領、クルド人問題、経済etc
流動的な外交関係
→現在だと米国との関係が微妙です
これらの要因が複合的に関係して現在のリラ安につながっているのですが、これを解決するには、長期的なプランが必要そうですね。
なんかこれらの難問に比べればリセッションが可愛く思えます。
リラ安はトルコを訪れる外国人にとっては、リーズナブルに買い物ができるというメリットがあり、それをテコにトルコ経済の浮上を目指す向きもあります。
あと、実際に輸出産業は少し息を吹き返したそうですが。
ただし、トルコは基本的に輸入により頼っている経済構造ですので、リラ安よりもリラ高の方が恩恵が多いのです。
輸出産業が盛んで円安を喜ぶ日本とは状況は逆なんですよね。
今後のリラの動向は?
トルコのリセッションとスワップ投資に何か関連があるか?
じつは「リセッション→リラ安」というシンプルな構造ではないところが厄介です。
たしかに、包括的に見れば、リセッションはリラ安の要因となります。
ただ、エルドアン大統領の就任以来に限れば、リラは地政学的リスクに反応する通貨になりつつあります。
この地政学的リスクを引き起こしているのが、エルドアン大統領とトランプです。
悪いニュースとしては、トルコが反米親露に傾きつつあるということ。
(選挙目的のフェイクとも言われていますが)
トランプが中東に首を突っ込んであれこれ引っ掻き回すこと。
良いニュースとしては、トルコの経常赤字が減少したこと。
(皮肉にも、リラ安のおかげで輸入が減ったかららしい)
また、シリア情勢が安定に向かっていることでしょう。
というわけで、リラのレートはいずれか一方に極端に振れる可能性は低そうです。
(と、個人的には考えて今後の投資を続けていきます)
今後の投資方針
現在管理人は、トルコリラを毎月1000通貨・レバレッジ1倍で積み立てています。
なんちゃってドルコスト平均法でありますが、2018年10月、当時1TRY=18.5JPYの頃に開始したので、為替差益だけでも黒字であります。
スワップ投資は中長期(5年以上)を見据えていますので、リセッションの期間はそれほど長くなく、投資には影響しない、むしろリラ安になれば安く仕入れることができてラッキーぐらいに考えています。
今回のリセッションがどの程度続くか予想はできませんが、米国の例だと、1945年以降は平均11ヶ月だそうです。
参照元の全米経済研究所(NBDR)のデータを以下に示します:
Source: https://www.nber.org/cycles.html
赤い枠のところが1945年以降の、リセッション/景気拡大の平均期間で、それぞれ11.1/58.4ヶ月です。
これを見る限り、リセッションよりも景気拡大期の方がはるかに長く、長期投資において、リセッションは障害にならないことが明らかです。
あのリーマンショックによるリセッションでさえ、18ヶ月で打ち切りなのですから。
トルコに関しては同様のデータを見つけることはできませんでした。
自力で作成することもできるけれど、そこまで頑張ることもないか。。。と思って作らず。
まあ世界経済は米国を中心に回っているので、米国のデータはトルコに関しても参照できるかなと雑に考えております。
ということで結論は、今回のリセッションは投資方針に影響なしです。