買いトラリピのレンジが外れてしまった。さあどうする?

最近円高が進んでいますね。
クロス円&買いのトラリピを持っていてレンジアウト(トラリピを設定した範囲からレートが外れること)した人も多いのでは?

今回は買いトラリピでレンジアウトしてしまった場合の対処について取り上げます。

レンジアウトとは?

トラリピは一定の範囲に「買い→売り」(または「売り→買い」)のトラップを多く仕掛けて、自動売買する仕組みです。
その一定の範囲のことを「レンジ」と呼びます。

たとえば、1USD=100~120JPYの範囲にトラップを仕掛ける場合、100~120JPYがレンジと呼ばれます。

ところが、為替は常に変動するものです。1USD=95JPYや123JPYなど、100~120JPYから外れることもあります。
この状態が「レンジアウト」と呼ばれるものです。

レンジアウトのうち、上限突破は対処不要

このレンジアウトには2種類あり、レンジ上限を上回る「上限突破」、レンジ下限を下回る「下限突破」があります。

上限突破に関しては、対象通貨が値上がりしているので含み損が増えることあありません。
単に機会損失ですので、放置で良いでしょう。

むしろ、値上がりを追いかけて追加のトラリピを設定すると、反落した際に多くの含み損を抱えることになるので、追加トラリピは慎重にしたほうが良いです。

トラリピはレートの行き来を利用する取引ですので、極端に高いレートでポジションを持つと、再びそのレートに戻るまで含み損を持ち続けることになるので、慎重にすべきです。

レンジアウトのうち、下限突破は追加トラリピのチャンス

下限突破の場合、レートが下限の値まで戻るまでひたすら我慢するという方針をまず考えたほうが良いです。
レートはいつか戻るものですので、気長に待ち続けるのも投資の一つでしょう。

ただ、もし資金に余裕があるならば追加トラリピを設定する絶好の機会でもあります。
その理由は以下の2つ:

1. 証拠金が少なくて済む(対象通貨が値下がりしているので)
2. 値下がりすればするほど、反転値上がりする可能性が高い

FXも含め、投資の基本は「安く買って高く売る」です。
1はその条件を満たしていますね。

そして、大きな利益を得るには「スイングトレード」が有用です。
2のように底値でポジションを持つことはスイングトレードになる可能性が高いのです。

このような理由でレンジアウト(下限突破)時は追加のトラリピを設定する絶好のチャンスであるのです。

トラリピの追加には条件を決めておく

ただし、むやみやたらに追加ポジションを持つのはお勧めできません。
トラリピを追加する条件を予め決めておき、それを満たしたら粛々と実行するのみです。

△は以下のような条件で追加トラリピを発動しています:

1. レンジ下限から5%値下がり→値下がり分の範囲で追加トラリピ1
2. 追加トラリピ1のレンジ下限から5%値下がり→値下がり分の範囲で追加トラリピ2
3. 追加トラリピ2のレンジ下限から5%値下がり→値下がり分の範囲で追加トラリピ3
…以下繰り返し

なお、トラップ値幅については基本的に元々のトラリピの設定に準じています。

実際の設定

では△が持っているCAD/JPYのポジションを例に、方法を見てみます。

△は以下の設定でCAD/JPYの買いトラリピを持っています。
1CAD=80~95JPY(トラップ値幅0.5円)
1CAD=80.25~84.75JPY(トラップ値幅0.5円)

そして、現在以下のようにレンジアウトしています。

さて、ここからCADが上昇(赤矢印)すれば何もする必要なし。
しかし、下落し続けると、追加トラリピのチャンスであります。

では、先に述べた追加トラリピの条件:

1. レンジ下限から5%値下がり→値下がり分の範囲で追加トラリピ1

を当てはめてみましょう。
図示すると以下のようになります。

レンジ下限は1CAD=80JPY。
それを突破してさらに5%下落した場合のレートは1CAD=76JPY。
ここれ追加トラリピの1回目が発動です。

追加のレンジは1CAD=76~80JPYになります。

さらにCADは下落するかもしれません。
その場合は下図のように、直近のレンジ下限を5%下回るたびにトラリピを追加していきます。

はい、つまりナンピンせよということですね。
ただし、細かく区分しての計画的なナンピンですので、キャッシュの余裕に応じて調整は可能です。

キャッシュに余裕がない場合は追加は2回に止めるとか、トラップ値幅を広げてポジションを減らすなど、柔軟に調整できるでしょう。
その際、トラリピ試算表は有用です。

売りトラリピの場合も考え方は同じ

ここまで買いトラリピに関しての説明でした。
同様の手法は売りトラリピにも適用できます。

売りトラリピの場合、買いの時とは逆で、

1. 下限突破は対処不要
2. 上限突破時に追加トラリピのチャンス

となります。

まとめ

一方的な円高は、ボックス相場が得意なトラリピにとって利益を出しにくい状況です。
いちおう、反対方向の売りポジションを持って利益を出す方法もありますが、万能ではありません。

資金に余裕がない、あるいはレートの回復を待つのは苦にならないという人は何もしなくて良いともいます。

とくに相場の変動が大きい場合は、落ちてくるナイフを掴む状態になるので、「レンジ下限から5%値下がり→値下がり分の範囲で追加トラリピ1」の5%を10~20%ぐらいに置き換えて、底値で少なめのトラップで仕掛けるのも良いでしょう。

下落の後には上昇するのが為替というもの(例外もあるけれど)。
そのチャンスを掴むために、追加トラリピの準備をしておくことは大切です。

そのためにはやはりキャッシュポジションは重要。
せっかくのチャンスを指をくわえて眺めているのは悔しいですし。
円高や株安など、みんなの手が止まっているときほどチャンスなのです。

マネースクエア