トラリピで擬似両建て

トラリピは基本的にレンジ相場での「新規ポジション→決済」を繰り返して利益を重ねていくものです。
ただ、短期的には一方的な円安/円高に振れて、含み損ばかりが増える時期があります。

この時に両建てを行えばある程度含み損を相殺し、利益を積み重ねることができます。
今回はそんな両建てに関するお話。

両建てとは?

FXにおいて両建てとは、同一通貨ペア買い売り両方のポジションを同時に持つことです。
この場合、買い方向売り方向どちらに動いても利益が発生するため、単純にいえば利益が2倍になります。

例えばUSD/JPYで1USD=100~120JPYのレンジでレートが動き続けている場合、ドル高になれば買いポジションが決済されて利確、ドル安になれば売りポジションが決済されて利確。
これが「利益が2倍になる」という意味です。

マネースクエア社の公式見解+α

ただし、トラリピを運営するマネースクエア社の両建てに関する見解は否定的で、その理由は以下のことによります:
1. 証拠金必要額は、新規買い/売り注文のどちらか高い方の証拠金が必要
2. 手数料が買いと売りの双方に発生(現在は手数料なし)
3. スプレッドが買いと売りの双方に発生
4. スワップは買いと売り(プラスとマイナス)の双方の差額を負担

さらに管理人の考える不利益として以下が挙げられます:

5. 想定レンジを外れると買い/売りいずれの場合も損失が拡大する
6. 上記の損失は反対方向の利確では相殺できない
7. マイナススワップの負担が大きい

5は言いかえればレンジを外れている間に決済することは大きな損失になるため、レンジに戻るまで身動きが取れないことを意味します。
外れたレンジに追加でトラリピを仕掛けることはできますが、リスクを変えないならば当然追加の証拠金が必要になります。

また、7について、マネースクエア社のスワップポイント付与は、プラスとマイナスの差が大きいため、マイナススワップの発生には注意が必要です。

それでも両建てがしたければ

さきに述べたとおり、同一通貨ペアの場合、スワップポイントのプラスとマイナスの差が大きいため、同一通貨ペアでの両建てはやはり避けたいところです。

ということで、以下の条件でなら(同一通貨ペアではないですが)両建てを試みるのもありかと思います。
仮に擬似両建てと名付けましょう。

1. レンジ相場の通貨ペアを抽出
2.「買い」でプラススワップ発生ペアを選び、「買い」グループとする
3.「売り」でプラススワップ発生ペアを選び、「売り」グループとする
4「買い」グループ「売り」グループの両方でポジションを持つ

Note:3を満たすことが難しいかもしれません。その場合、マイナススワップ発生でも許容できる範囲なら「売り」グループ扱いでも良いでしょう。

管理人選んだ擬似両建てペア

上記の条件を満たす通貨の「買い」「売り」グループは以下のとおり:

「買い」グループ
USD/JPY, CAD/JPY, AUD/JPY, NZD/JPY「売り」グループ
EUR/JPY, EUR/USD

ということで、上記の「買い」グループ「売り」グループのペアでトラリピを仕掛ければ、やや気休めにはなるかもしれません。

実際にやってみた

管理人はもともと「買い」でCAD/JPYとAUD/JPYのトラリピを持っています。
ただ、円高傾向になると含み損が増えるばかりで決済がなかなか発生しません。

そこで、「売り」でEUR/JPYのトラリピを持つことにしました。

青い枠が今回のEUR/JPY「売り」です。
設定は5/6〜になっていますが、実際は3/28に開始した「トラリピ1クリック」を5/6に終了。
即座にレンジなど設定を少しいじって再開したものです。

赤い枠の「買い」の含み損にぶつける形での設定ですので、「ハーフ&ハーフ」の片割れという位置付けではありません。

その結果は以下のとおり(2019年5月1日〜)

この期間、円高傾向で、「買いポジション」では決済がなかなか行われませんでした。
上の表の青字「売」が「買いポジション」の決済です。
合計で3960円。

対して、赤字「買」は擬似両建ての反対方向の「売りポジション」。
成行を除いた決済額は5770円。
やはり円高傾向時ならではの結果です。

もし「買いポジション」だけだと残念な結果でしたが、反対の「売りポジション」をもってよかったかなあという感じです。

評価損益はどちらかがプラスになることは考えにくいですが、今のところ円高の勢いが強いのでEUR/JPY「売り」がプラスになっています。

ただ、既存の「買い」トラップの本数73本に対して、今回追加した「売り」トラップは21本
より高い両建て効果を狙うならもっと多くの売りトラップを仕掛けるべきですが、円高/円安方向に振れてレンジを外れることも想定して、控えめな本数にしています。

今後も検証を続けます

今回のEUR/JPY「売り」のトラリピ追加は、異なる通貨ペアでの擬似両建てとはいえ、両建てに伴って生じるリスクはゼロではないと思います。
そういうこともあって、ポジションは少なめになるよう、トラップ本数を少なめにしました。

EUR/JPY「売り」ではマイナススワップの心配をしなくていいので、万が一塩漬けになった場合でも気楽です。
ただし、想定レンジを外れる心配はあります。

レンジを外れた場合、レンジを広げていくことが管理人の方針ですので、現在のレンジでは0.5円間隔という自分にとっての基本間隔を守っています。
ここで間隔を狭くすると、レンジを広げる際の予算が足りなくなりますので(らくトラ運用試算表でシミュレーション済み)。

ということで、しばらくは実践で擬似両建てのノウハウを得ることとし、設定のSOPを作成できればなあと考えています。

トラリピが気になるな〜というかたはこちら:
マネースクエア