トランプ砲とS&P500

前記事「荒れ相場ではサテライト投資を楽しもう」で、2018年以降のS&P500(SPX)のチャートを挙げました。

①VIXショック、⑤クリスマスショックと説明をつけましたが、残りは今回発表します。

回答:
②米国の対中関税第1弾
③米国の対中関税第2弾
④米国の対中関税第3弾
⑥第3弾の税率を10%→25%に
⑦米国の対中関税第4弾

とうことで、一連の米中貿易戦争のキーとなる、関税戦争のポイントでした。

米中間における貿易収支の不均衡はこれまでも問題となっており、トランプ大統領の堪忍袋の尾が切れて発動されたのが第1弾。
その後第2弾までは中国も米国にかけられたのと同額に対して報復関税を発表します。

ところが第3弾では、中国は同額の報復関税はお返しできません。
中国から米国への輸出より、米国から中国への輸入額のほうが少ないので当然です。
もはや関税で報復できなくなった中国に打つ手なしか、と思われたのがこのころ。

これ以降SPXは急激に下がり、クリスマス・ショックに至るのです。
振りかえると第3弾がトリガーになったともみえます。

2018年12月にアルゼンチンでG20が開催され、米中の対立は棚上げされたかのように見えました。
それもあってか反動で2019年は右肩上がり。
このまま直近の最高値まで達したのですが。

まだ記憶に新しい10連休の終盤、突如トランプ大統領が第3弾の関税の引き上げをツイート。
水を差されたSPXは再び下落。

その後6月のG20で米中は表面上和解ムードだったのですが、第4弾が発表されて再び下落。

それにしてもトランプ大統領の行動パターンは分かりやすいです。株価が高値を維持しているときは関税をかけると脅迫します。そして、株価が下がるとトーンダウン。

いやはや本当に米中貿易戦争に、というよりトランプ大統領のツイートに翻弄され続けた1年半でした。

記事執筆時点(2019年8月20日)では、「⑦米国の対中関税第4弾」の一部商品に関して12月まで除外すると発表されました。
米国のクリスマス商戦に影響が出ることを懸念しているのトーンダウンでしょう。

あるいはかつて関税発表しても下落しなかったSPX(②③)が、現在では敏感に反応するようになった(④⑥⑦)ことから、トランプ大統領も弱気になっているのかもしれません。
なにせ2020年には大統領選挙が控えているわけですから、株価を下げるわけにはいきません。

この点は、議会制民主主義の米国の弱みとも言えます。
選挙が恐くて有権者や党員の顔色を伺いながら国の方針を決めなければいけませんので。

いっぽう選挙のない中国はこの心配はいりません。
もちろん内部で派閥争いやら何やらたいへんでしょうけど、国としての方針はブレが小さいでしょうから。

持久戦になれば習さんのほうが有利ですね。
臥薪嘗胆ということわざの生まれた国ですし。時間稼ぎには定評のある国です。

今後SPXはどうなるのか?
逆イールド発生など、不穏な情報が入ってきている今日この頃。

多くの方がリーマンショック級の暴落は避けたいと考えているでしょう。
米国も中国も概ねそうだと感じます。

ただ、ごく一部にはそうでない勢力もいるはず。
どちらに転んでも対処できるよう、キャッシュを増やすなど準備万端しておきたいです。