よくある「複利効果はすごい」の説明
先日外でお茶していたときのこと、隣のテーブルでは2人の男性が向かい合って何か話し込んでおりました。
どうやら長期投資に関する説明のようで、説明する側は「低利率だけれど、複利効果で長期的には資産が爆発的に増える」みたいな説明をしています。
具体的には、平均年利5%程度を想定しているようでしたが。
(利回り5%は微妙に高い気がするけど、それはここでは置いといて。。。)
商品の中身まではわかりませんが、今はやりのインデックス系の投資でしょうか?
投資はギャンブルといった古いイメージが残る中、「低リスク・低利率、しかし複利効果で大きなリターンが見込める」といったうたい文句で投資初心者さんを勧誘するお決まりのパターンです。
かくいう管理人もインデックス系のWealthnaviを利用しています。
Wealthnaviは良心的な勧誘方針ですが、それでも「複利効果」を強調しています。
つまり、元金についた利子にも利子がつき、時間をかけると資産が雪だるま式に増える効果のことです。
その説明自体には誤りはありません。
ただ、複利を盲信するのではなく、正しく理解することが大事じゃないかなと思ってます。
複利に限らずですが、資産運用会社は欠点をわざわざ教えてくれませんし。
年平均X%は毎年X%ではない
年利に関する説明でよくあるパターンが「年平均X%」というものです。
当たり前のことですが、毎年X%の利回りがあるとは限りません。
たとえば、20年間で平均5%というのは、前半10年が10%で後半10年が0%かもしれません。
もっと極端だと、前半10年が15%で後半10年が-5%かもしれません。
最初の喫茶店の2人の会話では、「毎年5%」に誤解されそうな説明がされていて、ちょっとでも投資をかじった人なら誤解されないと思いますが、初心者さんなら毎年右肩上がりを想像してしまうんだろうなあ、と思いつつ聞いていました。
そしてお決まりの右肩上がり&右に行くほど急上昇を示す「ザ・複利効果」のグラフを提示してトドメを刺すのかもしれません。
平均5%を3パターンで検証してみた
管理人はWealthnaviで「初回入金100万円+毎月積み立て4万円」の運用をしています。
これを例にして、期間20年、年利平均5%を以下の3パターンでシミュレーションしてみます:
- 毎年5%
- 前半10年が15%、後半10年が-5%
- 前半10年が-5%、後半10年が15%
同じ5%でも結果はずいぶん違うものになります。
*「積立額/毎月」がマイナスになってるのはFV関数を使用してるからで、実際は+40000です。
20年間で積み立てる金額(元金)は1060万円です。
毎年5%だと資産は1.8倍まで増えており、たしかに複利効果の凄さを実感できます。
一方で、「前半10年が15%、後半10年が-5%」だと、1.25倍に止まります。
「前半10年が-5%、後半10年が15%」のケースだと、2.9倍です。
一般的に複利効果の説明に使われるのが、紫のライン(積立額)と黄色のライン(毎年X%)を提示するものです。
たしかに何本もグラフを比較するとややこしくなるので、説明を単純化するうえでは仕方ないですが、誤解を生じると思います。
本当は水色や緑色のパターンもあるということは、投資者自身が自分で調べる必要がありますね。
複利の弱点
上記のグラフから読み取れるのですが、複利の弱点は以下の3つがあります:
- 資産が小さい場合効果が小さい
- 期間が短い場合効果が小さい
- 資産が大きいほどリスク要因となる
最初の2つはよく知られているの問題ないのですが、問題は3つ目です。
上記グラフの水色ラインですが、11年目以降(-5%)、毎月4万円を積み立てているにもかかわらず右肩下がりです。
いっぽう、緑色のラインは10年目までの-5%の期間中、同じく毎月4万円を積み立てていますが、元本割れしつつも右肩上がりです。
つまり、資産が大きい場合、利率が下がるとダメージが大きくなるというわけです。
これは投資の出口戦略を考えるにあたって重要な問題になります。
資産運用会社の多くは、商品を売っても、それをどのように手じまいするかは教えてくれません。
あらかじめ利確の額を決めておく等、個人個人の投資スタイルに合わせた出口戦略を立てる必要がありますね。
管理人は全く手付かずなので、これから勉強ってとこですが。
まとめ
6月〜今年いっぱいは勉強期間ということで、さまざまな投資商品に少しずつ手を出しています。
そのなかで複利運用が持ち上げられすぎでは?とちょっと疑問に思ってました。
まだまだ調べ切れてないこともあると思いますが、自戒の意味も込めて記事にしてみました。
いずれにせよ複利が投資の強い味方になることは間違いないので、長所・短所をさらに見つけていければなって思ってます。